カワサキKH・SSはボアアップ(ダウン)出来る?エンジンの互換性について!
大きくするばかりが正義じゃないよ!!ノリンです。
ということで今回は、「KH250・350・400【SS含む】」に載っているエンジン「S1・S2・S3」の腰上の互換性についてです。
書いておいてなんだけど、くっそマニアックやんね!(笑)
この記事を読むと以下が分かります。
- KH・SS(250・350・400)エンジン(腰上)の互換性
- ボアアップ(ダウン)に交換が必要な部品
- スタットボルトの取外しに便利な工具
ではまいりましょう!
カワサキ KH・SSシリーズ(S1~S3)でボアアップ(ダウン)は出来るの?

KH・SSシリーズと題していますが、このお話は「KH500・500SS・750SS」は入っておりません。この3機種はエンジン型式が「H1・H2」となっております。
早速結論ですが「400㏄→250㏄・350㏄」へのボアダウンは可能です。
「250→350」または、「250→400」へのボアアップわい!Σ(゚Д゚) ってところですが、以下の表をご覧ください。
| エンジン型式(車体) | クランクケース部品No. |
|---|---|
| S1(250SS・KH250) | 14001-049 |
| S2(350SS) | |
| S3(400SS・KH400) | 14001-075 (旧No.14001-059) |
「クランクケース部品No.」を調べると、実は「S1」と「S2」が同じなんです。
ということはつまり…250と350については、シリンダー・ピストン・ヘッドを交換するだけでボアアップもできる可能性があるということになります。(*‘∀‘)
「可能性」という含みを持たせたのは、下記に書いている「ケース側の互換性の不明点」があるからです。
一方で「S3」になると、部品No.が違っています。
「S1・S2」と「S3」の大きな違いは、エンジンマウントボルトの両端に取り付けられる“振動軽減用のブッシュ”の有無となります。
「S3」ではこのブッシュを装着できるように、ケース側の形状が変更されています。そのため、部品No.も変わっているということですね。
ボアアップに関しては以下で書く「ケース側のシリンダーのスカート部分が入る箇所の径」が重要なわけですが、「S1・S2」の寸法が「S3」と同等でないと、シリンダーが付かないことになります。
当然ながら大は小を兼ねるので、「S3」のケースを使ったボアダウンは出来るのですけどね♪
ケース側の互換性の不明点

写真がシリンダーの“スカート部分”がスポッと入るクランクケース側の径なんですが、「S3」では実測で「約64.2mm」ありました。
で、気になるのが S1・S2 のケース側の径がいくつなのか? というところ。
ここが分からないことには、ボアアップの可能性も判断できないんですよね~。
もしS1・S2をお持ちの方がいたら、ぜひ実測してみてください!
そして 「S3」と同じく 64.2~64.5mm あたり であれば……400㏄仕様へのボアアップも現実的に可能! となります(´艸`)
逆に、もし「 S1・S2」のケース径が「S3」より小さかった場合 は、クランクケース側の“差し込み口”を広げる加工が必要になりますので、内燃機屋(バイク屋)さんへ相談しましょう!(; ・`д・´)
ボアアップをすると登録変更が必要です。
また、以下画像でノギスで測ってる部分がケース側に入ります。
外径は「4㎜」の差がありました。


1気筒当たりの排気量を比較すると
- 250㏄:1気筒 83.3㏄
- 400㏄:1気筒 133.3㏄
となり、1値気筒の差は50㏄の差があるのですが、ライナーの外形はさほど変わらないは驚きですね。
そのため、400㏄のライナーは激薄です。(笑)
勝手な予想ですが、熱対策で故意に圧縮比を下げている気がします。そう考えると、400㏄だけ圧縮比が低いのも頷けるんじゃないでしょうか!?
| 排気量 | 圧縮比 |
|---|---|
| 250 | 7.5 |
| 350 | 7.3 |
| 400 | 6.5 |
ボアアップ(ダウン)で交換が必要なパーツ

当然のことながら、どの排気量にするにしても「シリンダー・ピストン・ヘッド」については、必ず交換が必要なのですが、KH・SSの場合「シリンダスタッドボルト・シリンダヘッドナットの交換」が必要になります。
こちらも部品番号をみれば分かるのですが、長さに違いがあります。
| エンジン型式(車体) | シリンダスタッドボルト部品No. | サイズ | 実寸 |
|---|---|---|---|
| S1(250SS・KH250) | 172BA08115 | 8×115 | 132mm |
| S2(350SS) | |||
| S3(400SS・KH400) | 172G0865 | 8×65 | 82mm |
なので、ボアアップ(ダウン)する場合は、スタッドボルトとヘッドナットを同時に交換する必要があります。
ちなみにサイズ表記と実寸が違うのは、サイズ表記がスタッドボルトの取り付けた状態でのケースからの数値が記載されていると思われます。
実寸(132)−サイズ(115)=17mm
のように計算すると、ケース側に17mmほど入り込む計算になるので、感覚的にも合っているかと……
シリンダスタットボルトを簡単に取外す方法

硬いですよね!スタッドボルト!
シリンダ部分は常に高温にさらされていますし、頻繁に取り外す部品ではないので、旧車になればなるほど固着していて硬いです。
上の画像のように「ダブルナット」で外せればラッキーなのですが、シリンダスタッドボルトは長さも相まって「ねじれ」も発生する(特に4ストは長い)ため、
- 回らない
- 折れそうで怖い(回せない)
- ダブルナット側が回ってしまう
なんてことになります。
そんな時に、筆者が「これだ!!」と思ったのがこの形の「スタッドボルトリムーバー」です。

少し見にくいですが、スタットボルトの下の方までリムーバーが入りこんでいるのが分かるかと思います。
この方法であれば、スタッドボルトの長さは関係ありません!
そして、この状態でボルトが緩む方向に工具を回していくと、リムーバー下側に付いている歯車(黒)が、スタッドボルトに食い込んでロックしてくれるため、結果的にスタッドボルトが緩んじゃうわよ♪
という仕組みとなります。

傷はついてしまいますが、交換前提と思いますので気にしなくてよいかもです。
どうしてもというなら、使えないほどの傷でも有りません。
対応ボルト径も「6mm~19mm」と幅広くなっているため、これ1つあればバイク、車のほとんどで対応できてしまうのではないでしょうか。
汎用性やコスパを考えたときには上記の「スタッドボルトリムーバー」はおすすめですね!
ちなみに以下のような、ボルト径専用のリムーバーは車のエンジンルームなど、狭い場所での作業や、スタッドボルト同士の隙間が狭い場合などにおすすめです。
スタッドボルト取り付け

スタッドボルトの装着は、ダブルナットで締めるだけなので難しくはないのですが、締め過ぎてもケース側に余計な負荷がかかってしまうので、トルク管理は行いたいですね♪
ただ、KH・SSのマニュアルを見てもシリンダスタッドボルトの締め付けトルクを見つけられなかったのでトルクが分かりませんでした。
なので、ヘッドナットの締め付けトルクと同じ22Nm(約2.2kg)で締め込みました。
エンジンはトルク管理重要なのでトルクレンチは必須です!
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スタッドボルトが逆だった

一度は終わったと思っていたのですが、全てのスタッドボルトを逆につけてしまいました。笑
こういう失敗は、整備をしてれば「あるある?(笑)」なのですが、12本きっちりトルク管理して締めたので、結構、萎えましたねぇ。
とりあえず、休憩を挟んで気合を入れてから、直しました。

スタッドボルトの両端のネジ部分の長さが、微妙に違うことは気づいてたんですけどね。
思考停止で取り付けてしまいました。
まあ、整備なんでこういう事の繰り返しだよね!笑
皆さんは間違えないようにしてください。
まとめ
というわけで、KH・SSの腰上の互換性について語ってみました。
結論としては、以下ののボアダウンは可能です。
- 400cc→350cc
- 400cc→250cc
「S1・S2」ケースを使ってのボアアップは、ケース側の径が「S3」と同じく 64.2~64.5mm 程度あるかを確認してみてくださいね!
ボアアップをすると登録変更が必要です。
今後、時間がもっと経った時、部品がなかなか見つからない可能性だって当然でできますので、そういうときはボアダウンなども一つの選択肢になるのではないでしょうか。
まあ、普通はボアアップしたいんですけどね!笑
やはり、なかなかマニアックな内容になってしまいましたので、最後まで見る人はいないかもしれませんが、1970年代のエンジンですので、貴重な情報になることを願います。
ほぼ自分の記録のためにですが!笑
さ〜て、ここからのセッティングを頑張りますかね♪
では、また!




