カブ シリンダーヘッド交換 激安の中華ヘッドは使える!?
中華って安くて旨いよね!ノリンです。
前回の記事「4mini カブ90(HA02)シリンダーヘッドOHとポート加工」でバックファイヤー(吸気側での爆発)の症状が出てしまい「吸気側のバルブシールを少し傷つけた事」が原因であろう、という予想からシリンダーヘッドを購入・交換したので記録します。
バックファイヤー:吸気側での爆発
アフターファイヤー:排気側での爆発
本来は症状が起こっているヘッドの状態を確認し、再度擦り合わせ、取付、確認など行い、それでもダメなら部品注文を行いたかったのですが、通勤に使っているため時間も掛けられないので、前もって購入しておくという流れにを取りました。
調べたところバックファイヤーの主な要因は下記のようです。
- 吸気バルブの損傷(燃焼時の火がバルブの傷から吸気側に侵入し引火)
- 点火タイミングの遅角(燃焼が遅れ、吸気バルブが開き引火)
- 燃料の濃すぎ(余分な燃料が吸気側に溜まっていて引火)
今回は「1.」と思って作業してますが果たして・・・
中華製ビックバルブシリンダーヘッド!?
前回C100EX互換のシリンダーと同じお店から購入しました。
◆ヘッドの仕様
- スキッシュエリア径:約47mm
- 吸気バルブ:約22mm
- 排気バルブ:約20mm
- 吸気ポート:約21mm
- 排気ポート:約19.5mm
- リフト量:IN/OUT共に26.5mm
- スプロケット:28丁
「若干の誤差がある場合がございます」とのことです。
うーん、残念ながらビッグバルブではない・・・かなぁ((+_+))
でも、4750円(購入当時)と激安なんで許しましょう!
シリンダーと合わせても1万以内で腰上全交換(DIYなら)できちゃいます。
シリンダー購入時にも思いましたが、ここまで安いと取り付けができるのか不安になります・・・
結果的には普通に取り付けできました、ポン付けも可能です。細かいところを気にさえしなければ・・・(筆者は気になりました【下記】)
インマニの取付口に若干の誤差があるのか、ノーマルエアクリーナーだと、ダクトが変形してしまいます。
社外のパワフィルとかなら問題なしかなぁ!
筆者の場合、キャブがPC20だったり、JUN製マニホールドを付けているせいもあるかもですが。
下記画像を見ると分かりますがかなり雑な作りをしています。
鋳物の型にバリがあるまま作ったかのようにIN側、EX側共に谷のような凹みがあります。特にEXのマフラー側は入り口だけが縁取りしたように削られており「おいおい!」と言いたくなる状況で、とてもこのままでは使いたくないと思いました。
という事で
ポート加工をしました。
ノーマルヘッドに続いて2回目のポート加工なので、コツを掴んだのか効率よく加工できました。
加工と言っても段差が無くなるように慣らしただけなのですが、段差が大きくそれなりの削りカスは出ました。
シリンダーとの接着面も凸凹です。まあ、ここはガスケットが挟まるので結果的には大丈夫でした。が、こういった細かいところが今後の耐久性に関わって来るのではないかと思います。
ここからは想像でしかないのですが、鋳物の内部にも気泡があったりするかもしれません。そうすると、エンジン熱により気泡内部の空気が膨張と収縮を繰り返すことで鋳物自体にダメージを与えていくことも考えられますよね。
まあ、激安なので仕方ないです!(笑)
中華カムシャフト
比較画像を取り忘れてしまいましたが、純正カムと中華カムでは組み込まれているベアリングの大きさが違いました。
純正カムは片側が大きい(または小さい)ベアリングになっておりますが。中華は両端共に同じ大きさのベアリングでした。
中華カムはモトラタイプや6V系のヘッドに組み込まれている形状と同じで互換性がある?ようです。
まあ、ベアリングを打ち換えることが出来ればどれも使えるような気はしますが・・・どうでしょう。
「モトラ カム」や「中華ヘッド カム」などで調べると出てきます。
まだ構想段階ですが、リーファン125㏄エンジン用のカムがモトラタイプの形状で、付けられればハイカムになりそうなので試してみたいと考えています。
すでに中華125ccエンジンを組んでいる方は、150cc用のカムもあるようなので、そのカムをハイカムとして使う人もいるようです。
バルブ擦り合わせ
バルブすり合わせも行います。
そのまま使えるとのコメントも見かけましたが、新品の状態(初期値)がどんな状態なのかに興味があったので作業しました。
カブのバルブ当たり面の幅(規定値)は1㎜~1.5㎜とのことですが中華ヘッドは0.3㎜~0.5㎜程度しかなさそうですね。(画像)
できれば、規定値内に収めた方が良いのでしょうが、バルブカッターは持っていませんし、擦り合わせ用のコンパウンドで当たり幅を広げるのは、困難を極めるためこのまま付けることにしました。
余談ですが、バルブの当たり面は細い方がパワーが出るようです。ただし、その代償に当たり面への力が1点集中したり、カーボンが挟まった時のダメージで圧縮抜けが発生したりなど、結果的に寿命が短くなるリスクがあるとのこと。
どのくらいまでやればいいのか?
いくつかのサイトを拝見しましたが「適度にすり合わせを行う」等、表現が曖昧で明確な答えがなかなか見つかりませんでした。中には45秒程度などと時間で書かれている物もありましたが「秒数で作業しても、キッチリ当たりが出なかったら意味ないやん!」と腑に落ちませんでした。
そこで筆者なりに考えた結果
- スタンプしたとき光明丹が1週付着すること
- スタンプの幅が許容範囲内であること(カブ:1㎜~1.5㎜)
1.のスタンプについては
- バルブフェースに光明丹を塗ってスタンプし、バルブシールを確認
- バルブシールに光明丹を塗って、バルブフェースを確認
の2方向から確認としました。
中華ヘッドの組付け
中華ヘッドは純正に比べると、おもちゃのような”ちゃっちい”感じがしてしまいます。
いよいよ、組付けです。
よくヘッドのトップカバーやサイドカバーだけ純正品を取り付けする方がいるのも納得です。ただ筆者は、色味の違いが出てしまうのが嫌だったので、中華のセット内容のまま使いました。
ちなみに、カムスプロケットの取付ボルトも付属していましたが、9㎜(画像)でなんとも使いずらいサイズでしたので8㎜に変更しておきました。
中華だから9mmを使っているのかと思っておりましたが、ダックスのヘッドをバラした時も9mmでしたので、これが純正サイズのようです。
タペットのクリアランス調整
ヘッドを交換(取外し)したので、改めてタペットのクリアランス調整を行います。
カブ90(HA02)の調整幅は
吸気側・排気側共に0.05mm(±0.02)が規定値
つまり、シックネスゲージの0.05㎜で調整を行い、0.07㎜が入らなければOKということ。
調整には前回も使った、タペットアジャストレンチがあると便利です。
エンジン始動
さて、組付けが終われば火入れです。
タイミングチェーンの組付け後には必ずフライホイールを手動で回しバルブの干渉などが発生していないか確認してください。
回転中何かに当たるような感じで止まったり、その他違和感があった時は、再度ヘッドを開けて確認する必要があります。
キーをオンにして、いざキック!
「トトトトトトトトトトトトッ」相変わらずジェントルな音が響きます。
そのまま、エンジンを温めて試乗しバックファイヤーが出ないことも確認・・・
確認・・・
してたはずなのに
家に帰って、カッコよくアクセルを煽ってキーを切ろうとした瞬間「パパパパーン!!!」
!?!?!?!?
直ったと思っていたのに・・・ヘッドのせい(バルブフェースの損傷)じゃない!?
えっ!どこよ!?
となると、冒頭で書いたバックファイヤーの主な要因
- 吸気バルブの損傷(燃焼時の火がバルブの傷から吸気側に侵入し引火)
- 点火タイミングの遅角(燃焼中にバルブが開き引火)
- 燃料の濃すぎ(余分な燃料が吸気側に溜まっていて引火)
の中では2.3.が怪しくなってきますが、タイミングチェーンはちゃんと確認したのでとりあえず問題なしとして、残るは3.の燃料の濃さです。
ここからは、キャブおセッチングになりますので別記事にしたいと思います。
では、また!
追記
バックファイヤーと思っていた症状ですが、別の原因でした。
今回の作業で使用した道具
分解・調整用
タペットアジャストレンチは「ロ型」と「I型」が有るので注意!
車両に合わせて購入してください。
部品・パーツ類
モンキー系の横型エンジンは互換性がありますが、ヘッドガスケットは排気量により別途購入が必要です。