【GPz400/550・Z400/550GP】メンテナンスデータ集!管理はこれでOK【永久保存版】

角目が渋い!ノリンです。
2025年3月、友人がGPz550(A5)88年式を購入したのですが… エンジンからオイルがにじんでいる!(; ・`д・´)
ガスケット交換で直るのは分かるけど、分解できても「締付トルク」が分からないと組み付けできない…。
こういう時こそ「サービスマニュアルがあればなぁ」っと探していたら…なんと海外から 「GPz400/550」 「Z400GP/550」のサービスマニュアルを発掘することができました。
ただ、筆者が見つけたのは「A1~A3」までの情報のみ。 とはいえ、エンジン自体は大きく変わらないだろうと判断し、参考にすることにしました!
※キャブのみ「GPz550-A4・A5」の純正セッティングも記載してます!
これはもう【永久保存版】ではないでしょうか!?
まあ需要はないと思いますので、ほぼ自分用(&友人用)ですが…(笑)
ちなみに、サービスマニュアルと同じくらい大切なのが「トルクレンチ」です。
話は少し脱線しますが、昔「NS-1」をボアアップした時の話。
ヘッドボルトを「手ルクレンチ」で締めていました!(笑)
- 友達「こんくらいかなぁ?」
- 筆者「どれ、貸してみ!」←手ルクレンチ発動
- 筆者「こんくらいじゃね!?」←トルクレンチではないので、正解は不明!
- 筆者「よし!」←何が「よし!」なのか…(;・∀・)
高校生の頃なんて「トルクレンチ」なんて言葉すら知らなかったですからね!
最近では、カブのボアアップ時に手ルクレンチで締めたところ、後々余計な不安を抱くことに…(;´Д`)
やっぱり整備には「トルクレンチ」が必須だなと痛感したため、速攻で購入しボルトを締め直しました!
皆さんもバイクを触るなら、サービスマニュアルとトルクレンチは必須アイテムですよ!(`・ω・´)b
おすすめのトルクレンチと使い方を見る
おすすめのトルクレンチ
下記は筆者も使っているAmazonべーシックの商品ですが、DIYには十分な性能だと思います。
エンジン整備向けのトルクレンチ
フレーム向けのトルクレンチ(車のホイールにも使えます!)
ボックスレンチ取付部、変換アダプター(ボックスを使い回し出来るので便利です!)
デジタル表記で分かりやす方が良い方向け
エンジン整備向けのトルクレンチ SK11(エスケー11) 1.5~30 N・m【人気】
フレーム向けのトルクレンチ SK11(エスケー11) 6.8~135N・m【人気】
トルクレンチの使い方

トルクレンチを使用する際は正確なトルクを設定することが重要ですので、各部品ごとの適切なトルク値(下記トルク表)を確認しましょう。
トルクレンチの設定
※上記画像の設定トルクは2.5 N・mとなります。
使うメーカーのトルクレンチによっても多少方法が異なりますが、大まかな順番は下記の通りです。
- 下記表や各バイクのパーツリストで目的のネジのトルクを確認
- トルクレンチのノブを回し目的のトルクにセット
- 適切な大きさのボックスレンチを付ける
- 「カチッ!」や「カコンッ!」となるまで回したら完了
1つの部品が数本のネジで止まっている場合は、1回で締め付けを完了させることは避けましょう。その場合の方法は部品中央付近のネジからスタートして、対角線上に少しずつ占めていき2~3週目で締め付けを完了するぐらいが良いです。
1回目から締め付けてしまうと、目には見えない歪みが部品に発生する場合があります。
【GPz400/550・Z400/550GP】基本データ

サービスマニュアルでは、Z400GP系の型式が「ZR」となっていますが、欧州仕様だからなのかなぁ?と言ったところ
日本での型式は
・ゼファー400系=「ZR400」
・GPz400径=「ZX400」
・Z400GP系=「KZ400M」
なので、混乱しちゃうよね(;・∀・)
ということで、下記の表は車名に変更しておきましたよ

「型式:ZR」になってますが、写真はどう見ても「Z400GP(KZ400M)」ですよね(笑)
と思ったら、リアブレーキがドラムになってるやん!!これは、Z400J(FX)と同じ理屈ですね。
ちなみに「Z400GP」と「GPz400(F)」は生まれが「Z400GP」の方が先ではあるものの、兄弟車ならぬ、双子車のような存在です!
バイクの中古販売サイトなんかでも、「GPz400」で検索すると「Z400GP」が出てくることが結構多いです!
なぜなら、「Z400GP」のサイドカバーに「GPz400」の文字が有るモデルもあるから!
そら間違えるわなッ!(笑)
あと、空冷のGPzは「Z」が小文字だったりします。
- GPz400F=空冷ネイキッド
- GPZ400R=水冷スポーツ
欧州仕様のサービスデータのため、日本仕様とは異なる部分が有ります。あくまで参考としてお考え下さい。
エンジンオイル
項目 | 適用モデル | 標準値 |
---|---|---|
オイルグレード | 全モデル | SEクラス |
粘度 | 全モデル | SAE 10W40, 10W50, 20W40, 20W50 |
オイル量 | 全モデル | 3.0 L |
フロントタイヤ
フロンホイールのサイズが
・Z400GPは「19」インチ
・GPZ400は「18」インチ
という点に注意してね。
DUNLOP ダンロップ TT100GP(おすすめ)
好みではありますが、70~80年代の旧車(ネイキッド)なら「TT100GP」を選んでおけば間違いないと思います!
GPz550用 18インチ
GPz550純正の「100/90-18」です。
Z400GP・Z550GP用 19インチ
TT100GPでは、純正サイズ(90/90-19 or 3.25-19)が無かったので、「3.60-19」または「100/90-19」になりますが、
筆者なら一番誤差の少ない「3.60-19」を選びますね!
リアタイヤ
項目 | 適用モデル | 標準値 |
---|---|---|
サイズ | Z400GP | 110/90-18 (または、4.00H18-4PR) |
Z550GP | ||
GPz550 | 120/80-18 | |
空気圧 | 全モデル | 221 kPa(2.25 kg/cm², 32 psi) |
DUNLOP ダンロップ TT100GP(おすすめ)
リアもやっぱTT100GPでしょ!
GPz550
TT100GPは純正サイズの「120/80-18」が無かったので近いサイズは「110/90-18」「130/80-18」となります。
「120/80-18」と幅と扁平を比較すると以下の通りです。
タイヤサイズ | 幅差(mm) | 扁平差(mm) | 備考 |
---|---|---|---|
110/90-18 | -10 | +3 | おすすめ |
130/80-18 | +10 | +8 | 太めにしたい方 |
「110/90-18」はZ400GPの純正サイズでもあるのでちょうどいいかもですね!
Z400GP・Z550GP
Z400GP系の純正サイズです。
ブレーキ

項目 | 適用モデル | 標準値 | サービスリミット |
---|---|---|---|
ブレーキフルードグレード | 全モデル | DOT3 | ーー |
ディスク振れ | 全モデル | 0.15 mm TIR以下 | 0.3 mm TIR |
ディスク厚さ | 全モデル | 3.8 – 4.1 mm | 3.5 mm |
ブレーキライニング厚さ | 全モデル | 4.5 mm(ディスク) / 3.5 – 3.7 mm(ドラム) | 1 mm / 1.8 mm |
ブレーキドラム内径 | 全モデル | 160.00 – 160.16 mm | |
ブレーキペダル位置 | 全モデル | 0 – 30 mm(調整不可) | |
ブレーキライトスイッチ | 全モデル | ペダル約15 mm作動後に点灯 |
フロントブレーキパッド
GPz系
Z400GP
リアブレーキパッド
GPz系
Z400GP系
あまりいないと思いますが、海外仕様のZ400GPはリアがドラムのようなので確認してね。
フロントフォーク

項目 | 適用モデル | 標準値 |
---|---|---|
項目 | 適用モデル | 標準値 |
エア圧 | 全モデル | 59 – 78 kPa(0.6 – 0.8 kg/cm², 8.5 – 11 psi) |
オイル量 | 全モデル | 233.5 – 238.5 mL |
オイルレベル | 全モデル | 495 mm(スプリングなし、伸長時) |
粘度 | 全モデル | SAE 5W20 |
エンジン調整
項目 | 適用モデル | 標準値 |
---|---|---|
項目 | 適用モデル | 標準値 |
スロットルグリップの遊び | 全モデル | 2 – 3 mm |
アイドル回転数 | Z400GP | 1,200 ± 50 rpm |
GPz550・Z550GP | 1,050 ± 50 rpm | |
エンジンバキュームシンクロ | 全モデル | 2気筒間の差が2.7 kPa (2 cm Hg) 未満 |
キャブレター仕様

海外のデータのため日本とは異なる箇所もあるようです。
項目 | Z400GP | GPz550-a1~a3 | ZX550-a4・a5 |
---|---|---|---|
キャブレター種類 | TK, K26V | TK, K27V | Keihin, CV30 |
メインジェット | #102 | #114 | #110 |
エアジェット | #100 | Φ1.0 | #130 |
ジェットニードル | 4A01 | 4A10 | N16E |
ニードルクリップ位置 | 上から4番目の溝 | 調整不可 | 調整不可 |
スロージェット(パイロット) | #32 | #34 | #35 |
パイロットエアジェット | #100 | Φ1.25 | #145 |
スクリュー調整 | 2回転戻し | 2½回転戻し(ドイツ2回転戻し) | 2½回転戻し(ドイツ:2回転戻し) |
燃料レベル | 7 ± 1 mm | 7 ± 1 mm | -2.0 ± 1 mm |
フロート高さ | 27 mm | 27 mm | 16.5mm |
友人の GPz550はa5ですので「CV30キャブ」なのですが、OHキットを探しても見つけられませんでした。そこで、CVK30のOHキットを購入したところダイヤフラム以外は使うことができましたよ!
CV30のダイヤフラムは廃盤のようですし、探しても見つからなかったので、破れたら終わりのようです…
大切に扱わなくては!!
もしかしたら、CV30を使ってる他の車両の名前で探せば見つかったりしてね。(笑)
TKキャブであれば、「キースター」の燃調キットが出てるんですけどねー
締め付けトルク表
基本締め付けトルク
部品指定が無いネジはこちらの表を参考にしてください。
ねじ径(mm) | トルク範囲(N・m) | トルク範囲(kg・m) |
---|---|---|
ねじ径(mm) | トルク範囲(N・m) | トルク範囲(kg・m) |
5 mm | 3.4 – 4.9 | 0.35 – 0.50 |
6 mm | 5.9 – 7.8 | 0.60 – 0.80 |
8 mm | 14 – 19 | 1.4 – 1.9 |
10 mm | 25 – 39 | 2.6 – 3.5 |
12 mm | 44 – 61 | 4.5 – 6.2 |
14 mm | 73 – 98 | 7.4 – 10.0 |
16 mm | 115 – 155 | 11.5 – 16.0 |
18 mm | 165 – 225 | 17.0 – 23 |
20 mm | 225 – 325 | 23 – 33 |
エンジン上部(Engine Top End)

部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 | 備考 |
---|---|---|---|---|
エアクリーナーハウジング取付けネジ | 6 × 1.0 | 4 | 4.9 N・m (0.50 kg・m) | ー |
ブリーザーカバー ボルト | 8 × 1.25 | 1 | 5.9 N・m (0.60 kg・m) | ー |
カムシャフトキャップボルト | 6 × 1.0 | 16 | 12 N・m (1.2 kg・m) | S(指定順に締める) |
カムチェーンテンショナーキャップ | 18 × 1.5 | 1 | 25 N・m (2.5 kg・m) | ー |
カムシャフトスプロケットボルト | 6 × 1.0 | ー | 15 N・m (1.5 kg・m) | ー |
キャブレターホルダー六角ボルト | 6 × 1.0 | 8 | 15 N・m (1.5 kg・m) | ー |
シリンダーナット | 6 × 1.0 | 3 | 12 N・m (1.2 kg・m) | S |
シリンダーヘッドボルト | 6 × 1.0 | 5 | 12 N・m (1.2 kg・m) | S |
シリンダーヘッドナット | 8 × 1.25 | 12 | 23 N・m (2.3 kg・m) | S |
シリンダーヘッドカバーボルト | 6 × 1.0 | 24 | 9.8 N・m (1.0 kg・m) | ー |
スパークプラグ | 12 × 1.25 | 4 | 14 N・m (1.4 kg・m) | ー |
エンジン左側(Engine Left Side)

部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 | 備考 |
---|---|---|---|---|
オルタネーターローターボルト | 10 × 1.25 | 1 | 69 N・m (7.0 kg・m) | ー |
オルタネーターステーター六角ボルト | 6 × 1.0 | 3 | 9.8 N・m (1.0 kg・m) | A(ロック剤適用) |
エンジンスプロケット固定プレートボルト | 6 × 1.0 | 2 | 9.8 N・m (1.0 kg・m) | A |
エンジン右側(Engine Right Side)

部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 |
---|---|---|---|
クラッチハブナット | 20 × 1.5 | 1 | 130 N・m (13.5 kg・m) |
クラッチスプリングボルト | 6 × 1.0 | 5 | 8.8 N・m (0.90 kg・m) |
タイミングアドバンサーマウントボルト | 8 × 1.25 | 1 | 25 N・m (2.5 kg・m) |
エンジン底部(Engine Bottom End)
部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 |
---|---|---|---|
エンジンドレンプラグ | 12 × 1.5 | 1 | 29 N・m (3.0 kg・m) |
オイルフィルターマウントボルト | 20 × 1.5 | 1 | 20 N・m (2.0 kg・m) |
ホイール(Wheels)

部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 |
---|---|---|---|
フロントアクスルクランプボルト | 8 × 1.25 | 1 | 14 N・m (1.4 kg・m) |
フロントアクスルナット | 14 × 1.5 | 1 | 64 N・m (6.5 kg・m) |
リアアクスルナット | 16 × 1.5 | 1 | 78 N・m (8.0 kg・m) |
リアスプロケットナット | 10 × 1.25 | 6 | 34 N・m (3.5 kg・m) |
ブレーキ関連(Brakes)
部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ブリードバルブ | 7 × 1.0 | 1/キャリパー | 7.8 N・m (0.80 kg・m) | ー |
ブレーキホースバンジョーボルト | 10 × 1.25 | 2/ホース | 29 N・m (3.0 kg・m) | ー |
ブレーキレバーピボットボルトロックナット | 6 × 1.0 | 1 | 5.9 N・m (0.60 kg・m) | ー |
ディスク固定六角ボルト | 8 × 1.25 | 5/ディスク | 23 N・m (2.3 kg・m) | ー |
フロントブレーキスイッチ取付けネジ | 4 × 0.7 | 1 | ー | A(ロック剤) |
キャリパー取付けボルト | 8 × 1.25 | 2/キャリパー | 29 N・m (3.0 kg・m) | ー |
マスターシリンダークランプボルト | 6 × 1.0 | 2 | 8.8 N・m (0.90 kg・m) | ー |
トルクリンクナット | 10 × 1.25 | 2 | 29 N・m (3.0 kg・m) | ー |
ステアリング関連(Steering)

部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 |
---|---|---|---|
ハンドルクランプボルト | 8 × 1.25 | 2 | 34 N・m (3.5 kg・m) |
ハンドルホルダーボルト | 32 × 1.5 | ー | 98 N・m (10.0 kg・m) |
ステアリングステムヘッドボルト | 14 × 1.5 | ー | 42 N・m (4.3 kg・m) |
サスペンション関連(Suspensions)
部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 | 備考 |
---|---|---|---|---|
フロントフォークボトム六角ボルト | 8 × 1.25 | 2 | 18 N・m (1.8 kg・m) | A(ロック剤)、G(液体ガスケット) |
フロントフォーククランプボルト(上部) | 8 × 1.25 | 2 | 18 N・m (1.8 kg・m) | ー |
フロントフォーククランプボルト(下部) | 8 × 1.25 | 4 | 18 N・m (1.8 kg・m) | ー |
フロントフォークドレンボルト | 6 × 1.0 | 2 | 7.8 N・m (0.80 kg・m) | G(液体ガスケット) |
リアショックアブソーバーボルト | 12 × 1.25 | 2 | 69 N・m (7.0 kg・m) | ー |
ロッカーアームピボットシャフト(UNI-TRAK) | 14 × 1.5 | 1 | 88 N・m (9.0 kg・m) | ー |
スイングアームピボットシャフト | 16 × 1.5 | 2 | 78 N・m (8.0 kg・m) | ー |
タイロッドボルト(UNI-TRAK) | 10 × 1.25 | 2 | 37 N・m (3.8 kg・m) | ー |
電装品(Electrical Equipment)
部品名 | サイズ(mm) | 個数 | トルク値 |
---|---|---|---|
IC イグナイター取付けボルト(絶縁ブッシュ付き) | 6 × 1.0 | 2 | 6.4 N・m (0.65 kg・m) |
ウインカー取付けナット | 10 × 1.25 | 4 | 13 N・m (1.3 kg・m) |
まとめ
旧車となると…
自分が何オーナー目かも分からない!
誰がどの部品をどうイジったのかも分からない!
こんな状況、旧車乗りなら「あるある」です。(;´∀`)
さらに言えば、にわか知識の素人が見よう見まねで取り付けたパーツがあったり…
そんでもって、なんか調子が悪いことも…
でも!そんな時に「サービスマニュアル」さえあれば、純正のセッティングが分かるので、分解して見直すことができるのです!
こんなに心強いことはないですよね!(`・ω・´)
「調子が悪いなら、まずは純正状態に戻す!」これが鉄則!
…とは言え、筆者も見よう見まねでイジって覚えたタイプなので、あまり強くは言えませんがねー(笑)
では、また!