カブ ドラムブレーキを効きやすくする方法を解説【モンキー ダックス シャリー】
止まりませーーーーーーん!カブです。いや、ノリンです。
ブレーキが利かないんですよ、古いカブは・・・
ボトムリンク式でドラムブレーキのあのカブです。
ということで、元整備士としてできる限りの努力をしてブレーキを効くようにしたいと思います。
先に言っておきますが、魔法のような方法ではございませんので・・・悪しからず
ドラムブレーキを効きやすくする方法
早速ですが、方法は5つあります。
- ブレーキシューを変える
- ブレーキアームを延長する
- ブレーキレバーを長めの物に変える
- デカドラムに変える
- ディスクブレーキ化する
といった感じです。
この中で、理想は「デカドラム」なのですが、希少パーツということもあって高値で取引されているため、誰もが購入できるわけではありません。
さらに言えば、デカドラムの場合ボトムリンクごと専用部品に変える必要があるので、部品代だけで5万円近くなるのではないかと・・・
最初からデカドラムの人・・・うらやましい限りです。
「5.ディスクブレーキ化する」については
- ドラムホイールをそのまま利用し、ディスクブレーキ化するキット(リア用)をさらに加工して装着する方法
- テレスコピック式のフロントフォークに変えて装着する方法
などをされている強者もおられますが、
1.はかなりの加工をする必要があったりと技術的にも、金額的にも、万人向けではありません。
2.は簡単にディスク化という意味でボトムリンク式にこだわらないのであれば、下記キットを購入するのが簡単かつ楽ではありますが、やはり「技術」と「お金」が必要です。
ということで、1.~3.であれば比較にならないほど簡単に交換でき、なおかつ部品も安いので現実的な方法となりますので、ご紹介していきます。
おすすめのブレーキシュー
ブレーキシューの交換はホイールを外しての作業となるため、ブレーキアームも外すことになります。なので、どうせならシュー交換と延長ブレーキアームは同時に交換してしまいましょう!
シューを交換するだけでブレーキが利くようになるのか?
なります!効果ありです。
最初は「本当に効果があるのか」と考えておりました。とはいえ、あまりにもブレーキの利きが悪いので「少しでもブレーキの利きが良くなるのなら!」と試すつもりで交換したのが実際のところです。
現在(2024/3)、ブレーキシューを交換してから200~300㎞程走行しておりますが、200㎞越えた位からでしょうか、当たりが出たのか今までとは違う制動力を感じ取ることができています。
ただし、現代のバイクのようにガツンとロックするような効きになるわけではありません。
あくまでノーマルと比べて効くようになったという感じなので、過度な期待は禁物です。
そういったこともあり、ブレーキ延長アームは同時交換することを”おすすめ”します。
ちなみにブレーキシューはフロント、リア共に「止まる!」と話題の”デイトナ プロブレーキシュー”に交換しておきました。
スタンダードドラム用(筆者のHA02 カブは前後ともにこのシューを使っています。)
●下記の車両のフロントに適合
スーパーカブ50 70 90/ プレスカブ/ リトルカブ・C50-0400001 〜 ・AA01-1000001 〜
モンキー/ゴリラ(78〜04年式)・DAX・JAZZ・APE50/100 等
ジャイロキャノピー・TA02型 全車種
●下記の車両のリヤに適合
スーパーカブ50 70 90/ リトルカブ・C50-9600001 〜 0095210・AA01-1000001 〜
モンキー/ゴリラ(78〜04年式)・モンキーR DAX・マグナ50・JAZZ・APE50/100等
※モンキー/ゴリラ等はスプリング形状が異なりますが装着可能です。
※カブ等は年式によって違いがあるので現物を確認し手から購入しましょう。
デカドラム用(130mm フロント用)
リヤブレーキシューを交換する際にホイールを外しますが、ホイールダンパーを今まで交換していない方は劣化・破損をしている可能性が高いので、一緒に交換することを”おすすめ”します。
この部品はチェーンの駆動をホイールに伝えるときにダンパー(クッション)の役割をしているので、劣化で硬くなっていたり、削れて隙間が空いていたりするとギヤチェンジ時の変速ショックが大きくなったり、アクセルの開け始めなどに「ガクッ」というような、まるでチェーンが伸びた時と同じような症状現れます。
ブレーキ延長アーム
「ブレーキ延長アーム」は付けた瞬間から効果が実感できます!
「テコの原理」ですから支点から力点の距離が長くなればなるほど、作用点にかかる力が強くなりますので「軽い力でブレーキが利く=同じ力で握った場合より強く効く」ということになります。
そのため「ブレーキ延長アーム」は部品交換するだけで効果が出る優良アイテムです。
アームはブレーキレバーを握ると弧を描くように動きますが、ブレーキアームが長くなるということは、支点から力点の距離が長くなることを意味します。
そのため、ブレーキレバーを握ったときに力点の移動距離が長くなるということでもあることから、同時にブレーキレバーの握る距離も多くなる点は理解しておきましょう。逆に考えれば「より細かい制動力の調整が可能になる」ということにもなります。
ブレーキ延長アームの部品情報
製品番号 | 製品名 | 補足 |
---|---|---|
45410-GB5-J50 | フロントブレーキ延長アーム(純正流用) | 支点から約17mm延長 |
43410-GK4-970 | リアブレーキ延長アーム(純正流用) | 支点から約18mm延長 |
06-08-0230 | 武川 アルミ鍛造強化ブレーキアームキット(フロント用) | ノーマルから27mm延長 |
フロントブレーキ用
リヤブレーキ用
武川 フロントブレーキ用
武川製は純正流用よりもさらに1㎝(10㎜)近く長いので、より効果が高そうですね!見た目もカッコいいです。
お財布に余裕があるのであれば、長めに作られている武川の延長アームを使うのがベストかもしれません。
モンキー用もあります。↓
ブレーキレバー
ブレーキレバーについても、ブレーキアーム同様に「テコの原理」なので、レバーを延長し、支点から遠い部分を握ってあげれば
「より軽い力で同等の制動力を得る」または「同等の力でより強い制動力を得る」ことが可能となります。
と考えて、いろいろと探していたのですがカブ用の延長ブレーキレバーが見つかりません・・・涙
社外や純正流用などを考えているのですが、長さの記載がなく、壊れているわけじゃないので試し買いも勿体ないと思いしていません。
ということで、今のところブレーキレバーの交換は行っていないのですが少しだけ加工をしてみました。
カブのブレーキレバー握りにくくないです?
「ブレーキレバー反りすぎじゃない!?」と購入時から思っていました。
あくまで筆者の乗っているカブ90(HA02型)での話であり、現行カブはそんなことないと思いますが、同年式のカブは共通部品だと思いますので同じように反り返っていると思われます。
この反りが握りずらいのです。まるで10代のような反り具合!
ノ←この位反っています。マジで
バイクのブレーキは人差し指と中指を使うことが前提ですが、外側に行くにつれて指が届かなくなります。一番力が掛かるのが外側なのに・・・
ということで、パイプを突っ込んで少し反りを戻すことにしました。
ビフォーアフターの写真は撮り忘れましたが、かなり握りやすくなったと思います。
タダでできるのでおすすめですが、やりすぎは破損の原因になったり、レバーの端が握ったときにアクセルに当たってしまうなど、支障が出ないように加減をす必要はありますので注意してください。
握りやすいという点では、社外からもブレーキレバーが出ていますので、交換してしまうのが一番いいかもしれません。
キジマのブレーキレバーはレバー根元に段差を付けることで、握りやすい形状をしています。レビューでも「握りやすくなって、よりブレーキが効くように感じる」など高評価が多いように感じました。
こちらも人気の武川製のブレーキレバーです。少し値段が高いですが、純正と比べて肉厚だったり、エンド部の形状を変えていたり、こだわり感とカスタム感が出る部品となっています。さすが武川クオリティといったところでしょうか。こちらも握りやすいと高評価の商品となります。
カブのブレーキはなぜ効かないの?
冒頭でも書いた通り、ボトムリンク式がついている年代のドラムブレーキのカブはブレーキが驚くほど利きません。
どうやら、これには時代背景も関係しているようなのです。
つまり、わざとブレーキの利きを悪くしているということ・・・
なぜそんな必要があったのでしょうか?
カブ自体はスーパーカブC100(初代)という名前で1958年に誕生しており、このころから変わらずボトムリンク式でドラムブレーキを採用(これもすごい)しています。
スーパーカブが生まれた時代は、砂利道が一般的で今のように舗装道路が当たり前の時代ではありませんでした。そんな時代に、本田宗一郎が女性でも気軽に乗れるバイクを作ろうと生まれたのがスーパーカブです。
足を大きく上げなくても座りやすいようにフレームがママチャリのようになっているのも女性を意識してあのカブらしい形になっているからですね。
時代背景を理解いただけたと思うのですが、現代のバイクのように良く効くフロントブレーキを砂利道で使ったら、きっと軽く握っただけでもタイヤがロックすると思います。
フロントロックはそのまま転倒につながりますので非常に危険です。ましてや「女性でも気軽に乗れるバイク」を目指すならなおのことです。だったら「ロックしない程度の制動力にしよう!」と本田宗一郎がわざと制動力を弱く作ったということです。
さすが世界の本田宗一郎、カリスマです。
そんなカブですが、2000年代ではアスファルトが多くなってきたことで、スピードも出せるようになり、今までの制動力では足りなくなってしまったので、通称「デカドラム」が出たり、現代ではディスクブレーキに替わっているということですね。
ちなみに「ドラムブレーキだからブレーキが利かないんじゃないの?」と言う方もいるかもしれません。
ドラムブレーキは効かない?
確かに現在の主流は車もバイクも「ディスクブレーキ」であることから、ディスクブレーキの方が良く利くと考えている方も多いと思います。でも、実は基本性能だとドラムブレーキのほうが制動力に優れているのです。
単純にブレーキ性能は「摩擦力」の大きさに比例しますので、ディスクよりドラムのほうが優れているというのは、「同じ圧力」「同じ面積」だった場合で比較してということです。
筆者も整備士時代に「ドラムブレーキのほうが制動力に優れている」と聞いたときは衝撃的だったのを覚えています。
実際に大型トラック(12t超)の整備も行っておりましたが、全てドラムブレーキでした。あれだけ重い車に使われているのですから「ドラムブレーキのほうが制動力に優れている」というのもうなずけますね!
もちろんコスト面や構造上の理由で、例えば車体を止めるために必要な摩擦力が生み出せる大きさのディスク&キャリパーを装着できないなどもあるとは思います。
では、なぜ「同じ圧力」「同じ面積」だった場合でも、ドラムブレーキのほうが制動力に優れているのでしょうか。
ドラムブレーキのほうが制動力が強い理由
ドラムブレーキには「自己倍力作用」があるため、より簡単に強い制動力が得られます。
自己倍力作用とは、リーディングシューが回転中のドラムと接触したときにドラムの回転方向に引っ張られるように作用し、シューがアンカーピンにより固定されていることでシュー自体が外側に開こうとする働きが生まれ、制動力が増すことを言います。
トレーリングシューは逆に跳ね返される感じになり、シューの摩耗に関しては前方のリーディング側が早く消耗する傾向にあります。
・リーディングシュー:進行方向に対し前方のシュー
・トレーリングシュー:後方のシュー
この「自己倍力作用」は真剣白刃取り!?方式のディスクブレーキには作用しないので、「同じ圧力」「同じ面積」だった場合でも、ドラムブレーキのほうが制動力に優れているということになります。
まとめ
ドラムブレーキを効きやすくする方法を解説してきました。
基本的には
- ブレーキシューを変える
- ブレーキアームを延長する
- ブレーキレバーを長めの物に変える
が、簡単で安価にできるブレーキ強化方法です。
しっかりと整備をしておくことは大前提となりますが、ブレーキは事故にも直結する重要な部品ですので、しっかり効くようにしておきたいですね!
ではまた。