88㏄以上におすすめ!セッティングも簡単なビッグキャブ「ミクニ VM26」【モンキー・ダックス・シャリー・カブ】
デッカイほうがええやん! ノリンです。
世の中にはキャブだけでも様々な商品が出ており、どれを選んだら良いのか分からなくなてしまいますよね。
今回は、そんな数あるキャブの中から、「ミクニ VM26」をご紹介したいと思います。
この記事では
- 「ミクニ VM26」が初心者向けの理由
- 「ミクニ VM26」の適した排気量
- セッティングデータの例
などをご紹介しようと思いますので、悩んでいる方には参考になるのではないかと思います。
初めてビックキャブを付ける方にもおすすめの逸品です。
とはいえ、ここまで大きな口径のキャブになるとエンジン回転数に合わせてアクセルを開ける必要が出てくる可能性が大(詳細は後ほど)なので、ストレスなく乗りたいのであれば、同じく初心者向けのキャブである「ケーヒン PC20」の方がおすすめとなります。
ではまいりましょう!
ビックキャブ ミクニ VM26とは
まず「㈱ミクニ」はキャブレター製造の老舗メーカーで「㈱ケーヒン」と共にキャブレター製造の一角を担う2大メーカーの1社です。
どちらも日本企業ですね。
そんな、ミクニが製造する「VM26」ですが、余計なパーツは何も付いていないシンプルな形状のキャブレターになっています。
ミクニ VM26 の仕様
本体の仕様は下記の通りです。
計測箇所 | 内径 | 外形 |
---|---|---|
スロート径(一番狭い箇所) | 26mm | |
IN側(エアクリ側) | 40mm | 43.5mm |
OUT側(エンジン側) | 28mm | 35mm |
実はキャブの型式の後ろに記載されている数字(今回なら26)はスロート径なのです!
ちなみに「φ」は「ファイ(パイ)」と読みます。
「ミクニ VM26」が初心者向けの理由
単純に「VM26」はセッティングが出しやすいんです!
これが、初心者にもおすすめの最大の理由になります。
セッティングが出しやすいということは、効果をすぐに体感できるということです。
この体感が「改造の最大の楽しみじゃないですか!?」と思うので、初めのうちはセッティングが出しやすいビックキャブを入れて楽しんでほしいのです!
「VM26」はシンプルなキャブレターと前述した通り、下記の必要最低減の調整部品しか付いておりません。
- メインジェット
- スロージェット
- ニードルクリップ
- エアスクリュー
- アイドルスクリュー
PC20も同じ構成ですが、この構成はキャブレターの基本となる形であり、教科書のような基本形です。
例えば、FCRキャブなどの有名なキャブがありますが、これらはもともとレース用に開発されたキャブレターです。確かに速さを求めるのであれば適していますが、それは適切なセッティングができた場合の話になります。
セッティングが不十分だと乗っていてもストレスが溜まりますし、そもそもエンジンを掛けるのが大変かもしれません。
FCRはメカメカしくてカッコイイし憧れのキャブではありますが、初心者のうちからセッティングの沼にハマってしまうと急にバイク熱が冷めてしまうこともあります。
そうなっては勿体ないので、セッティングが出しやすい「VM26」を使って勉強し、次のステップUPとして「FCRキャブ」などに進むのがおすすめです。
ちなみにセットが必要ない方は、単体の購入も可能です。
キタコの方が安い?セッティングの違いからでしょうか。
キタコと武川の違いについて
「VM26」は2024/9時点でキタコと武川から販売されていますが違いは下記の通りです。
- マニホールド(各社のマニホールドが付属される)
- セッティング
部品名 | キタコ | 武川 |
---|---|---|
メインジェット | 150 | 190 |
スロージェット | 15 | 22.5 |
ジェットニードル | 4J13 | 5E75 |
クリップ位置 | 2段目 | 3段目 |
セッティングをみるとキタコの方が小排気量向きなのが伺えますね!
ただ、4miniの排気量で考えるとどちらのメーカーを選んでも薄い方向に再セッティングは必要なので、マニホールドの形状で選ぶのも良いかもしれません。
マニホールドは短いほうが、レスポンスが良くなる傾向があります。
あくまで噂ですが、武川の方がセッティングがやり易いやすいとか・・・キタコは中速域が濃くなるんだそうです。
中速域が濃いなら、ニードルのクリップを上げて対応できないのかしら??(。´・ω・)?
最悪、武川に付属のニードルに入れ替えるのも有りですね。
アクセルコントロールが必要な理由
「口径が26φ」にもなってくると4mini(50㏄~125㏄)の中でも大口径寄りのキャブです。
その大口径キャブを取り付けた場合、アクセルを急に全開にした時などエンジンが止まる(ストール)ことがあります。
ストールが起こる原因
アクセルを急に全開にするとキャブレターは一気に大量の空気を取り込みますが、燃料供給が追いつかず混合気が薄くなります。これにより、エンジンが正常に燃焼できなくなりストールします。
この症状は口径が小さいキャブであれば吸入量が制限されているため起こり難いのですが、純正キャブでも直キャブやファンネルに変更すると起こりやすくなります。
これは同じアクセル開度でも、キャブレターの口径が大きくなると、小口径に比べて吸入される空気の量が増加するため、よりストールを起こしやすくなるということです。
下記はあくまでイメージですが、直キャブでアクセルを急激に○○%開けた時を想定するとこんな感じ
- 16φ:アクセル開度100%で一旦回転は落ちるが、その後回転上昇しストールはしない
- 20φ:アクセル開度80%でストール
- 26φ:アクセル開度60%でストール
この症状は急激にアクセルを開けたときに起こることが多いので「エンジン回転数の上昇に合わせて絞るように開ける」ことで吸入量を調整し、ストールを防ぐことができます。
ストールはアイドリング~低回転時にいきなりアクセルを開けると起こります。
逆に、走っているときなどある程度の回転数がある場合は、いきなり開けても加速してくれるでしょう。
これが、アクセルコントロールが必要になる理由です。
ちなみに125㏄にチューンされたが良く装着している「FCR28」など「28φ」が4miniでは最大サイズではないでしょうか。
多分それ以上口径が大きいと操作がシビアすぎて辛いかも・・・
「ミクニ VM26」の適した排気量
「適した」にも色々ありますので一概には言えないのですが、排気量は88㏄以上であれば使えるのではないかと考えています。
ですが、丁度良いという意味合いであれば「100㏄~125㏄」が排気量とのバランスが理想的ではないでしょうか。
なお「ビックキャブへ交換」を考える方は、すでにマフラーとエアクリーナーが交換済みであることが大半だと思いますので、交換済み前提で話しておりますが、それでも88ccにボアアップしただけでは、VM26は大きすぎる可能性があります。
というのも、マニホールド径やIN/EXのポート径が変わらなければ、吸入量の上限も変わらないからです。
なので出来れば、吸排気の効率を向上させるために「吸排気のポート加工」や「ビックバルブヘッドへの交換」を行うことで88㏄でもVM26に合うエンジンにすることをおすすめします。
是非、本気のパワーを感じてください!(笑)
SP武川 ビッグバルブヘッド 12V用
武川の17R-Stageには「+E」と「+D」がありますが、ヘッドの仕様は同じです。
INバルブ | EXバルブ | |
---|---|---|
武川 17R-Stage | 26mm | 22.5mm |
カブ90(HA02) | 23mm | 20mm |
12V モンキー | 19mm | 16mm |
なお、ボアアップがまだであれば、セットを購入した方が間違いなく安く済みます!
セットならシリンダ&ピストンとヘッドの相性を考える必要もありませんからね (=゚ω゚)ノ
武川 17Rステージ+Dボアアップキット 88cc
セッティング
ここでは「VM26のセッティングデータをまとめてみた」を作りたかったのですが無理でした・・・(;´Д`)
すまん!
と言いますのも調べてみたところ「105㏄で125番」だったり「110㏄で190番」だったりとあまりにもまちまち過ぎて・・・
とてもじゃないが、参考にならない
ということで、ノリン流のセッティングの出し方を書いてみます!(笑)
セッティング方法
難しく考えないようにしてくださいね!一瞬で沼にはまりますんで(。-`ω-)
セッティングを行う時は、必ず1か所ずつ行いましょう。必ずです!
「全開で薄いからメインジェット:1番上げて、中速濃いからニードルクリップ:1段上げるなどと予想」した時など
一度に変えたい気持ちは分かりますが、1回でどちらも変更すると沼です。(笑)
セッティング用のMJは前もって購入しておきましょう!
1. 初めに
初めに下記表で基本をイメージをしておきましょう。
ジェットの種類 | 影響範囲 |
---|---|
メインジェット | 全体に影響するがメインはアクセル全開時 |
ニードルジェット | アクセル開度1/4~3/4に影響 |
ニードルクリップ位置 | アクセル開度1/4~3/4に影響 |
スロージェット | アイドリング&アクセル開度1/8に影響 |
エアスクリュー | アイドリング&アクセル開度1/8に影響 |
内容がイメージ出来たら、セッティングを始めていきます。
まずは、購入時のセッティングのままキャブを装着しエンジンが掛かるか試しましょう。
エンジンが掛からない場合
目的を「とりあえずエンジンを掛ける」に設定する。
燃調の濃い(薄い)状態が分からないので、持っている中で1番薄いメインジェット(MJ)、又は濃いMJを試す。
これは、エンジンが掛かるまで繰り返すしかない
表にある通り、メインジェットは全体に影響しますので、最初はメインジェットのみ変更し様子を見てください。
薄い(濃い)のMJ交換で「掛かりそうな方」があると思うので「1番薄くして掛かりそう」なのであれば、次からは1番手ずつ濃くしてあげる。
濃い場合は徐々に薄くする。
必ず1番手ずつ上げて様子を見よう! じゃないと沼にハマるぞ
2. エンジンが掛かったら
アクセルをあおりながら暖気を行い下記表を元に症状を確認していくのだが、ここでもメインジェットのみの交換にとどめよう!
目的を「とりあえず、乗れそうな状態に持っていく」に設定する。
濃い症状
アクセル開度 | 症状 | セッティング方向 |
---|---|---|
全開 | 回転が伸びず、ボコボコ言って加速していかない | メインジェット径を小さくする |
1/4~3/4 | ジェットニードルのCリング段数を上げる | |
1/8~1/2 | ジェットニードルを太いものに交換する | |
アイドリング | エンストする | スロージェット径を小さくする・エアスクリューを締める |
薄い症状
アクセル開度 | 症状 | セッティング方向 |
---|---|---|
全開 | ノッキング、失速、息つき | メインジェット径を大きくする |
1/4~3/4 | ジェットニードルのCリング段数を下げる | |
1/8~1/2 | ジェットニードルを細いものに交換する | |
アイドリング | 回転が不安定 | スロージェット径を大きくする・エアスクリューを締める |
「息つき」の症状とは
エンジン内で爆発が起こったり起こらなかったりする状態に近く、アクセルのON/OFFを繰り返しているような挙動になります。「失火」も似た症状です。
3.アイドリングの調整とエアスクリューの調整
2.のメインジェット調整で「乗れそう」なぐらいまで来たら、アイドリングの調整とエアスクリューの調整を行おう!
- アイドルスクリューで回転数を少し高めに設定しエアスクリューを時計回しで閉めていく
- エンジンが止まりそうになるので、止まらない程度の場所に戻す
- 反時計回りに緩めていき「回転数が一番高くなった」と思われるポイントで止める
- 「回転数が一番高くなったポイント」から1/8回転ほど時計回しに閉める
「回転数が一番高いポイント」の見つけ方は、
1.エアスクリューを半時計回りに回す
このとき、それ以上回しても「回転が上がらない」か「回転が一定になる」ポイントを確認します。
2.回転のピークと回転が下がる場所を探す
回転のピークと回転が下がり始める場所を見つけて「回転ピーク側」で止めます。
3.狭間の回転ピーク側から「1/8回転」ほど時計回りに回す
これで、エアスクリューの調整は完了です。
エアスクリューの調整が終わったら、アイドルスクリューを戻し一般的なアイドリングぐらいの回転数に戻そう。
アバウトで申し訳ない! でも、回転数よりイメージがつくでしょ!?
音を聞いて「この位かな?」で十分です。
5.走って確認
必ず安全な場所で行いましょう!
2.ある程度の調整はできているはずなので、ここでさらに先ほどと同じ表を見ながらセッティングを煮詰めていきます。
煮詰めの作業は大変なので、1日でやろうと思わずに時間を掛けて行いましょう!
もちろんこの時は、メインジェット以外の部分も様子を見ながら触っていきます。
濃い症状
アクセル開度 | 症状 | セッティング方向 |
---|---|---|
全開 | 回転が伸びず、ボコボコ言って加速していかない | メインジェット径を小さくする |
1/4~3/4 | ジェットニードルのCリング段数を上げる | |
1/8~1/2 | ジェットニードルを太いものに交換する | |
アイドリング | エンストする | スロージェット径を小さくする・エアスクリューを締める |
薄い症状
アクセル開度 | 症状 | セッティング方向 |
---|---|---|
全開 | ノッキング、失速、息つき | メインジェット径を大きくする |
1/4~3/4 | ジェットニードルのCリング段数を下げる | |
1/8~1/2 | ジェットニードルを細いものに交換する | |
アイドリング | 回転が不安定 | スロージェット径を大きくする・エアスクリューを締める |
まとめ
セッティングの方法まで書いてしまいましたが、「ミクニ VM26」は良いキャブですよ!
中にはセッティングの範囲が大きいことから「可も不可もないキャブ」と言われることがあるようですが、逆に言えば「吸気量に合わせて、燃料の量を合わせてくれるキャブ」ってことじゃないですか?
是非皆さんも「VM26」を使ってみてください。
では、また!